デイグラシアの羅針盤 感想&考察

あらすじ等はこちらを参照。ちなみ自分はDL版でやりました。catalyst-games.com

EVER17をオマージュして作った、と聞こえてきたのでほいほい手を出してみたら非常に好みの作品でしたね。

実はやり終えた後に似てるかもしれないと頭に浮かんだ作品は違う作品なんですが、それはネタバレにもなるので下記のネタバレあり感想で。

「正解のないノベルゲーム」と銘打つだけあって、プレイする人によっていろんな考察が捗る作品かと思いますので是非未プレイの方はプレイをば。同人ゲームなので安いのもポイント。

さてネタバレありの感想というか考察です。

先駆者の方々の感想や考察に影響受けている部分もありと思うのでそちらも注意。

同じ考察がもしあったらすいません。

以下ネタバレ。

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・ネタバレ考察

さてこのゲームで一番の問題というか話題が「実際どれが正史なの?どれがシミュレーションなの?」って話だと思います。他の方の感想でも3週目が正史とか3週目もシミュレーションとかいろんな感想と考察が見受けられますね。

その中で自分がふと考えたのは(後出しジャンケンの様で心苦しい部分もありますが)「1,2週目はシミュレーション、3週目(EXTRA含む)が2週目以後に作られた片桐一葉の創作物なのではないか」という考えです。

理由としては3点ありますので順に述べていきましょう。

 

1.2週目で片桐一葉が現実を受け入れたこと

2週目の最後で片桐一葉はシミュレーションはあくまでシミュレーションで、二人しか生き残らなかったことは事実と受け止めています。ということはやはり縁と一葉以外が生き残っている、という事自体が少なくとも現実ではない、ということを示唆していると思います。

 

2.劇中での創作物への言及

こちらも2週目の最後で縁が物語、つまり創作物についての言及をメアリー・セレスト号の事件を例にして語っています。事実かどうかを別にして物語としてのメアリー・セレスト号が語り継がれて人々の記憶に残り続けること、悲劇がエンターテイメントとして語り継がれることについても言及されています。

また3週目の黎理の台詞でも洞爺丸事故の話に言及した小説(虚無への供物でしょうか)の話題が出てきます。

ここから3週目が現実ではなく、シミュレーションでもなく、この悲劇を残すための「エンターテイメント」としての創作物であることが考察できると思います。

 

2.本編中の発言とEXTRAの違和感

違和感を感じたのが1週目の灯里の発言とEXTRAの内容の違和感でした。

本編中で灯里が母親が黎理に愛を注いでいて自分が愛されてなかった、と発言する場面があります。で、EXTRAを読み進めていくと非常に仲睦まじい家族で、そんな発言が出てくるようには思えないんですよね。

また、共通ルートの光理が「姉」の説明をする場面と姉がときわだった時の違和感は誰もが感じたことと思います。

そして何よりもEXTRAがあまりにいい話であり、3週目と無矛盾すぎる(何点か不明点がありますが…)という点です。

ここから考えられるのはEXTRA(冒頭のシーン含め)が3週目のために作られた創作物ではないのか、ということです。灯里の家庭はEXTRAのような家庭ではなく、光里の「姉」は本当に灯里だった(これは光里だけが灯里を本当の姉だと知っている事情が必要ですが)、灯里が黎理を妹と言っているため矛盾しない創作の解答がときわを姉とするしかなかったのではないでしょうか。

真実は矛盾しませんが、矛盾しないからといって真実とは限らないという話です。

 

以上3点からどうしても自分は3週目が2週目以後に作られた創作物なのではないだろうか、という考えになってしまいました。もちろん全員生存の真実があればそれはとても素晴らしいことだとも思いますがどうしてもそうは思えないんですよね…どれが真実でどれが真実でないのか、というのを考えるという意味では真っ先に頭に浮かんできた作品がうみねこのなく頃にだったりしたわけですが。

 

とにかく考察が捗る作品なので、こういう作品が好きな人はプレイして損無いと思います。

以上考察でした。

 

[雑記(メモ)]

・EXTRA後の光里についてはハッピーエンドとして創作している以上、生存している展開で創作されているはず。生存者の数についてはあの中にいた生存者、という解釈も出来るし、そもそも光理は本来秘密裏にされていた人間なので数に入っていなかった、という解釈でも辻褄は合わせられるのでは。

・EXTRAの不明点は①野村姉妹と野村真一郎の関係と②光里の本名が高橋るみと呼ばれる場面があること、の二点。①についてはEXTRAで「天国のお父さん」という描写がある。野村真一郎という存在が創作としてのEXTRAに登場するのになぜ父親が亡くなっている設定なのか。②については光里の本名が高橋るみなのであれば(もしくは作者である片桐一葉が知っていれば)、姉妹である可能性が薄れてくるわけであり、その情報がありながら3週目のような創作がなされることに違和感が多少なりとも発生すること。ただ創作のための調査、取材の中で実の姉妹ではなかったことを示唆する情報が得られたとしても姉妹、もしくはそれに準ずる形の関係であったと創作したと解釈すれば辻褄は合わせられるはず。①、②ともに断片的な情報の繋ぎ合わせ、もしくは意図的な改編により創作されたとすれば解釈は可能だが果たして…